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2011年、2012年と2年続けて、100人の作家さんと一緒に、阪急うめだ本店にて、クリスマスイベントを開催しました。そのときのイベントでご一緒させていただいた100人の作家さんの作品を掲載した本を作りました!『絆BOOK』(2011年版)と『心に灯りを―。作家100人が紡ぐハンドメイドの贈り物』です。詳しくはアズ・ブリッジのサイトをご覧ください。
『絆BOOK』、『心に灯りを―。作家100人が紡ぐハンドメイドの贈り物』はメルスリーショップでも購入できます。 メルマガ「暮らしをしあわせにする本」 毎週水曜日(をめざして)に発行。 カテゴリ
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こんにちわ。
てしごと倶楽部の須藤敦子です。 今回、私が紹介するのは、「Flora フローラ ヨーロッパ[花の手仕事]」(ユキ・パリス著 文化出版局社刊 2007年1月発行)です。 手工芸の好きな方、刺繍の好きな方で、著者のユキ・パリスさんを知らない人はいないのではないかしら。 でも、私がユキさんを知ったのは、恥ずかしながら最近のことです。 今年の5月、ちょうど京都に行く機会があったので、ユキ・パリスさんの私設美術館を訪ねました。京都駅からバスに乗り、哲学の道をてくてく歩き、川沿いの道からちょっと入ったところです。 1階はユキさんが世界中から集めた手工芸品のショップになっていて、母屋から中庭をつたってつながった奥の間には、日本の着物のコレクションもありました。 そして2階が私設美術館です。入場料を払い、階段をトントン上ったその先に、手工芸の世界が広がっていました。繊細なレースを飾ったその空間の照明はほの暗く、シンと静まりかえっています。所狭しとレースや刺繍が飾られていましたが、そのなかでとりわけ興味を引いたのは、植物をモチーフとした美しい作品です。デザインといい、構図といい、秀逸で、しばらくは作品の前に立ちつくしてしまいました。 1階に下りて、ユキさんにその作品のことを尋ねると、それはグレダ・ベングトソンというデンマークのデザイナーの作品です、と教えてくださり、そして、グレダ・ベングトソンはもともとは画家であったこと、あそこまで完成されたデザインができる刺繍家はなかなかいないなど、ずいぶんと丁寧につけ加えました。 1時間くらいの滞在でしたが、私はすっかりユキさんのファンになり、その後、東京でユキさんの著書を買い求めました。その一冊が、今回、ご紹介する「Flora」です。 「Flora」は、ユキさんのコレクションの中から、古いヨーロッパの、花の手仕事をまとめた本です。ブルーワーク、レッドワーク、モノクロームなど、刺繍の技法や種類ごとに紹介されていて、それぞれの章の始めに、その刺繍の歴史やうんちくが紹介されています。 どの作品もさすがに完成度が高く、そしてそれ以上に高貴に見せる美しい写真で構成されています。 ページをめくるたびに、うっとり。まさにそんな感じです。 いろいろな刺繍の中で、とりわけ私が気に入ったのが、マルチカラード。さまざまな色糸を使った刺繍です。技法には、プチポワン、ベルリンワーク、ビーズ刺繍などが使われ、素人目には、今でいうオートクチュール刺繍のよう。 とくに黒地に多彩な糸で、自由に花を表現した胸飾り布は、息をのむような美しさです。 解説によると、その刺繍は、ウールの細い糸、クルーエル糸で刺されたクルーエル刺繍だそう。色とりどりの糸で、ふっくらとサテン刺繍がほどこされている様を見ていると、自分でも心が高鳴ってくるのがわかります。 私の好きな刺繍は・・・・。 野の花を刺した、楚々とした刺繍ももちろんきらいではありませんが、やはり色とりどりのあでやかなものに惹かれてしまいます。この傾向は、歳を重ねるごとに強くなってきています。 20代の頃の私は、お洋服は黒づくめ。コムデ・ギャルソンのようなカラスファッション。インテリアやしつらいは、年々、デコラティブなものから、シンプルにそぎ落とされたデザインが好きになってきたのですが、こと、身につけるものとなると、反対に年々ゴージャス志向になっている気がします。 若いうちは若さという輝きがあったので、シンプルでよかったのです。でも、歳を重ねると、自らの輝きが減ってきている分、それを埋め合わせるために、ゴージャスなもの、ビビッドなものに手が伸びるのかもしれません。 ずっと昔、パリのレース屋さんに行ったときのこと。お店には、70歳代くらいのお客様がいらしていました。 白を基調としたレーシーな洋服を纏い、つばのデザインが美しい帽子をかぶっておいででした。パリのおばあちゃんってなんておしゃれなの! こんなふうに歳を重ねられたら素敵。当時、私は20代後半、カラスファッションの真っ只中で、すぐすぐレーシーな格好をしたいなどとは露ほども思いませんでしたが、それでも、その豊かな装いは、私の「いつか思いだすファイル」の中にそっとしまわれたのです。 「ローマは一日にしてならず」。 素敵な歳の重ね方は、日々、いかに心豊かなことに自分の身をおいているか、のような気がします。 たとえば、週に一回、オートクチュール刺繍を習ったり、月に一回は美術館に足を運び、時空を超えて手工芸と対話し、3カ月に一度は、ミニコンサートで美しい音色に耳を傾ける・・・・。 あらあら、これはまさしく、私がイギリスで体験していたこと(オートクチュール刺繍は習っていませんが)。そこにはもうひとつ、素敵なガーデンめぐり、というのも入っていましたね。 日本に戻り、はや数年。毎日の大半は、小さな仕事部屋にこもり、パソコンに向かい、原稿を書いたり、企画書を書いたり・・。外に出るといたったら、近所のスーパーに生活必需品を買いにいく程度。しかもお惣菜が半額になる時間帯を狙って・・・! これでは、いけません。 ユキ・パリスさん、そしてパリでであった素敵なおばあちゃんのことを日々、思い出して、毎日ひとつは、心豊かになれることに自分の身を投じて、素敵な大人女性への道を一歩ずつ、踏み出さなくては。 ◆目次◆ Blue work Red work White work Monochrome Rococo Cross-stitch Multicolored 花を刺繍してみましょう ベルリンワークパターン フラワーパターン
by teshigotoclub
| 2011-08-27 13:30
| 暮らしをしあわせにする本
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